患者さんの夢を叶えない治療院
おはようございます。YMC株式会社の山本です。
「顧客のためを思って、サービスを提供しましょう」
などと商売の世界では言われます。
これを、
「お客さんの要望を全て聞き入れて、オーダーメイドのハイサービスを提供する」
という認識でいる方もおられますが、実は違います。
逆です。
お客さんは素人ですから、正しい判断を下すことができません。
売り手がリーダーシップを持って、その人に最適な商品を提供することが、本来の意味での、
「顧客のためを思って、サービスを提供しましょう」
ということです。
お客の夢を叶えない工務店
こんな話があります。
長崎に従業員5人の小さな工務店がありました。
かつては、お客さんの要望を全部聞いて、住宅を建てるという当たり前の業務を淡々とこなす会社でした。
お客さんの要望は、たいていこうでした。
●部屋数を多い住宅を低コストで建てたい
しかし、
ここの工務店の社長は、この要望に違和感を感じていたのです。
お客さんの要望に答えるのであれば、安い建材を使うしかありません。
でも、そういう安い建材は、
●頭痛
●呼吸器疾患
●めまい
などの症状がでるシックハウス症候群の原因になる物質が多く含まれている。
また、部屋数を増やせば、親子の対話が減り、非行やひきこもりの原因にもなってしまう。
こういった悪影響を与えてしまう家を自分が建てていることに、我慢がならなかったのです。
でも、お客さんは、そういった
●低コストで部屋数が多い家
を欲しがるわけですね。
そんなときに、この工務店の社長は、我慢の限界に達します。
「オレは自分の信念にマッチした家しか建てんぞ!」
その家とは、
●間仕切りが少ない開放的な家
でした。
自分の信念に基づき、子育て専門の家をつくるぞと。
個室には扉を作らず、子供が自室に引きこもることはできない。
間仕切りが少ないことで、より少ない建材で建てられるメリットもあり、シックハウス症候群にならない高価な建材を使っても、最終的には安価で建てられる。
これこそが、
「顧客のためを思って、サービスを提供しましょう」
ってことだと。
こうして、
●客の夢を叶えない工務店
が誕生したのです。
ほんとうの意味での顧客志向とは?
さらに、この工務店は、お客さんに対して、相当、おせっかいを焼きます。
たとえば、お客さんの家計をチェックしたりするわけです。
「世帯収入はどれくらい?」
「自動車ローンや健康保険の支払いはどれくらい?」
お客さんが、年収に見合わないような自動車ローンに追われていれば、
「高過ぎる高級車に乗ってますね。見栄はらずに軽にしたらどうですか?」
と買い替えを促す。
保険料の支払いが過度に多ければ、
「こんな無駄な保険いらないでしょう?解約しては?」
と保険契約の整理を勧める。
出費の無駄を取り払った上で、無理なく支払っていける住宅ローンの水準をきめるわけです。
それで、その範囲に収まるような土地を探し、建物の予算を決め、最後に間取りを決定する。
ついつい
「どうせなら広い家を建てたい!」
「どうせなら良い地区に住みたい!」
と注文時に気が大きくなってしまい身の丈を超える夢の住宅を建ててしまうわけです。
でも、こういった負担の多い住宅ローンを組んでしまうこととを防ぐために、家計のチェックをするんですね。
顧客志向とは、ただ顧客の要望に手放しで答えるものではないのです。
「ここが痛いから、この部分のマッサージを長くしてよ」
という患者さんの要望に対して、あなたはどう答えますか?
あなたは、本当に患者さんの利益を突き詰めた提案・施術をしているでしょうか?
山本