失敗から学習をするお店、学習しないお店
YMC株式会社の山本です。
今日は、
●失敗への向き合い方
についてお話をします。
失敗をしたときに、あなたはどんな感情になりますか?
「失敗をしたら最悪な気分になります!」
「そもそも失敗なんてしたくありません!!」
という感じでしょうか?
例外なく、僕も失敗したくないですし、失敗したこと自体を、なかったことにしたいです。
しかし、この失敗への向き合い方が、あなたの治療院の業績に大きな違いを生みだします。
この失敗に対する対応で、比較されるのが、航空業界と医療業界です。
ここに言及した書籍『失敗の科学』から今日は勉強していきましょう。
航空業界にはあって、医療業界にはないもの
2024年1月2日午後6時前、東京 大田区の羽田空港で、新千歳空港から向かっていた日本航空516便が、着陸した直後に海上保安庁の航空機と衝突しました。
重大インシデントが起こったわけですが、こういった事故があった場合、航空業界では会社を超え、国を超えて改善への道筋が共有されます。
今回起こった事故は痛ましい事故ですが、航空業界は、圧倒的な安全記録を達成しています。
航空機にはすべて「ブラックボックス」と呼ばれる装備があり、飛行データとコックピットの音声が録音されます。
事故があれば、このブラックボックスが回収され、データ分析によって原因が究明されるんです。
そして、二度と事故が起こらないように、業界全体で速やかに対策がとられます。
最近の飛行機の事故率は、なんと830万フライトにつき1回。
しかし、1912年には、米陸軍パイロットの14人に8人が事故で命を落としていたそうです。
航空業界は、この過去の失敗から学ぶ努力を怠らなかった結果、航空機は、大きく安全になりました。
一方、医療業界では状況が大きく異なります。
2013年の調査によると、年間40万人以上が、医療過誤により死亡しているそうです。
医療過誤とは、誤診、投薬ミス、手術中の外傷、手術部位の取り違え、輸血ミス、転倒、火傷、床ずれ、術後合併症など。
この数字を航空機に置き換えると、
●ボーイング747が毎日2機、事故をおこしているようなもの
●2ヶ月に1回『9.11事件』が起こっているに等しい
というくらいのことが、医療業界で起こっているそうです。
人は失敗を隠す
人は誰でも失敗を隠します。
自分の失敗を認めるのは難しいし、何かとスケープ・ゴートを見つけようとします。
●誰か悪者を見つけ、そいつのせいにする
自分の失敗は言い訳するくせに、人が間違いを犯すとすぐに責めたてます。
しまいには失敗から学ぶどころか、頭の中からキレイに削除して片付けてしまうのです。
医療業界では、とくに長年経験を積んで高い地位に昇りつめた医師にとって、失敗を公にするのは耐え難いというのもわかります。
失敗を隠したくなるのは、人間であれば誰でも同じなんですが、航空業界と医療業界の違いはどこにあるんでしょうか?
その違いは「失敗への向き合い方」の違いでした。
航空業界にはあって、医療業界にはないもの
そもそも、医療業界では、事故が起こった経緯について日常的なデータを収集してこなかったんです。
病院で起こった死に関する調査を病院ではしておらず、唯一調査の義務が発生するのは、裁判になったときだけ。
一方、航空業界では、通常、パイロットは正直にオープンな姿勢で自分のミスと向き合います。
失敗は、特定のパイロットを非難するキッカケにはなりません。
むしろ、すべてのパイロット、すべての航空会社、すべての監督機関にとって、貴重な学習チャンスとして捉えているのです。
つまり「失敗から学ぼうとする姿勢」が全く違うのです。
たとえば、航空業界は、事故が起こると、航空会社とは独立した調査機関、パイロット組合、さらに監督行政機関が、事故機の残骸や、その他の様々な証拠をくまなく調査します。
そして、その報告書は、一般公開されます。
報告書には、勧告が記載され、航空会社にはそれを履行する責任が発生するのです。
事故は、決して当事者のクルーや航空会社、もしくはその国だけの問題として受け止められるのではないんです。
世界中のパイロットは、自由にその報告書にアクセスし失敗から学ぶことが許されています。
さらにいうと、パイロットはニアミスを起こすと報告書を提出するが、10日以内に提出すれば処罰されない決まりになっているそうです。
失敗やミスを、個人の能力のせいにせずに、業界全体の改善チャンスだとしているのです。
失敗を「恥」とはせずに、失敗は欠かせないものだとする
僕らは、ついつい
●失敗はあってはならない、悪いものとする
●失敗のもとになる犯人探しをして糾弾する
という対応をしがちですが、それをやっている組織はドンドンと衰退します。
成長のためのマインドセットは、
「失敗は欠かせない!大歓迎だ!ぜひ、失敗させて欲しい!」
という失敗を歓迎する姿勢。
そして、その失敗を貴重な学習チャンスとして、次に活かす文化を醸造すること。
そんな組織、コミュニティは大きく進化を遂げて行くのです。
あなたや、あなたの組織では、
「失敗は恥だし悪だ。しないようがよい」
とするか、それとも
「失敗は欠かせない!」
と歓迎するか。
あなたは、どちらを選択しますか?
山本