悪しき「依存」から抜け出す唯一の手段は、他人の介入のみ
こんにちは。
YMC株式会社の山本です。
僕の祖父は、アル中で死にました。
それはそれは酒飲みで“土佐のいごっそう”を絵に描いたような人物でした。
夜中にピンポーンと家の呼び鈴がなる。
こんな時間に何ごとかと思っていると、
「すいませーん。ちょっとご主人が…」
と、タクシーの運転手さんが困った顔で家に来ていました。
寝てた祖母が飛び起きて、パジャマの上に慌てて紫色のガウンを羽織って玄関に出ていきます。
もう立てないくらいにぐでんぐでんの祖父が、タクシーの運転手さんに抱えられていました。
「迷惑をかけましてすいません…」
と、祖母が急いで申し訳なさそうにお金を運転手さんに渡す。
まともに歩けないので、母親と祖母が抱えて布団まで無理やり運ぶ。
「もうこんなに飲んで!」
と祖母が言うと、
「うるさいバカヤロー!」
祖父の怒号が飛ぶ。
ドラマでよく見る昭和の光景です。
こんなことが、一度や二度ではないくらいにありました。
それだけ酒好きな祖父。
昼間っから日本酒を飲んでいるのを知っていた僕は、こっそり酒瓶に水を入れて薄めてたりして。
幼いながら、僕なりにそんな抵抗をしていたことを思い出します。
結局、祖父はお酒が原因で体調を崩し亡くなりました。
こういう環境の中で育ってきた僕は、
「酒を浴びるほど飲んで、人に迷惑をかけてはいけない」
と幼いうちから思っていました。
※たまに飲み過ぎますが(笑)
こんな感じで、アルコールに頼らないと気分を紛らわせることができない。
いつしか、アルコールなしでは生きていけなくなる。
こういった症状を、
●アルコール依存症
と言います。
世の中を見ていたら、至るところに「依存」がチラチラと見え隠れしています。
アルコールだけではなくて、
- ニコチン依存
- ギャンブル依存
- 薬物依存
がありますよね。
「依存」に陥った人は、その依存物を欲しがり他のものを犠牲にします。
結果としてそれを欲しいがために犯罪行為をしたり、借金することをいとわなくなります。
たとえ高額であっても、入手しようとします。
怖いですね。
ただ、僕らの治療院ビジネス業界でも「依存」ってけっこうあります。
過去の成功体験に依存すると、時代に追いつけなくなる
例えば、
●保険への依存
が典型ですよね。
過去に美味しかった時代を知っている人は、それを手放せなくなります。
保険収入から脱却ができない。
自賠責保険も同じです。
「できるだけ、長く引っ張ってやろう」
「できるだけ、高単価で請求してやろう」
「できるだけ、他部位にしよう」
という昔ながらの習慣から抜け出せなくなっている。
保険というのは、財源があって初めて機能するわけです。
財布の紐を、国に握られている。
国の財源が少なくなれば、こちらの努力とは関係なく収益は減ります。
当たり前ですが、ヤバイですよね。
他にも、この業界は「依存」があります。
●自分への依存
です。
いわゆる“一人治療院”を長期間経営している先生は、この状態に陥っています。
治療、受付、営業活動など、全て自分のマンパワーでやっています。
こうなると、もう抜けられません。
自分が治療を休めば、収入はストップしますから。
休めなくなるし、ストレスも溜まり始めます。
最終的には、身体を壊して入院ですよ。
結局、何か特定のモノへ「依存」してしまうと、悪い未来しか待ってないわけです。
そういった意味で、つね日頃から何かに「依存」しなくても良いように対策を練っておくべき。
一つの手段としては、
●何らかのカタチで、他人の協力をあおぐことです。
悪しき依存から抜け出す唯一の手段は、他人の介入のみ
僕らの依存行動は、自分のチカラではまず抜けられないと思って下さい。
アルコール依存症の人は自分の意志では絶対に抜けだせません。
それくらい、依存行動は変えられないのです。
なぜなら、自分自身では依存状態を認識できないからです。
だいたい依存症の人ほど、
「おれはいつでも自分の意志で、すぐに辞められる」
と思っています。
漫画家のまんしゅうきつこは過去にアルコール依存症だったそうですが、こう言っていました。
「私は、当時を振り返ってもいまだにアル中ではなかったと思っている」
つまり、自分のことをアル中だと本心で認めていないんです。
否認しつづけるわけなので、自分では絶対に変えられない。
まんしゅうきつこは、家族に無理やり病院に連れていかれて治療開始。
部屋に閉じ込められて、アルコールを全部捨てられて、家族の監視のもと部屋に軟禁される。
そうなって、やっと依存から抜け出せるんです。
これは、自分の意志ではできないですよ。
それくらい、無理やり強制的に断ちきるしかないのです。
ようは、
●他人に協力してもらって、見張ってもらう
これしかないのです。
人は、意外と弱いです。
自分の意志で全てが変えられるとは、大間違いだと思います。
僕も意志が弱くて非常に怠惰な人間です。
そんな自分の弱い部分を変えるのは、外部からのアドバイスだったり、他人の介入です。
強制的にそうせざるを得ない状態にならないと、絶対に変わらない。
ってことは、誰かの協力がないことには自分の依存症から抜け出せるスベはないのです。
自分だけのチカラでは、ほぼ変わりません。
「いやおれは、自分の意志で何でもできる!」
と思っている人も、 他人から見るとだいたい変わっていません。
新しい環境に身を置くとか、他人に強制的に変えられるとか。
そうなって初めて自分を変えることができます。
そういう意味で、
●自分で全てなんとかしよう
っていう自分依存の人ほど、成長できなくなります。
それくらい「何かを変える」って難しいんです。
山本