患者さんに自然と自費メニューを提案できるようになる「ある方法」とは?
「今度、プロテスト受けます!」
おはようございます。YMC株式会社の山本です。
僕は以前、ビリヤードのプロを目指していました。
大学生の頃、ビリヤードを初めて、どっぷりとハマり、毎日のように練習に没頭しました。
ビリヤードの腕はメキメキと上がり、いつしか「プロの世界で戦ってみたい」と思うようになりました。
もちろん、周りの人や、業界の人にも、そのことを宣言していました。
試合なんかに行くと、他のお店の人や同業者と話すわけですが、
「山本くん、プロになるの?」
「ええ、プロを目指しています」
という会話になる。
すると、業界内で噂が流れますから、
●山本はどうやらプロになるらしいぞ
という話が飛び交うんです。
「プロになります」という宣言をすることでの影響
この「プロになる宣言」をすることで、とても興味深いことが起こるようになります。
今はどうかわかりませんが、当時ビリヤード業界は、麻雀よろしく、ギャンブルが盛んでした。
お金を賭けてビリヤードの勝負をするんです。
ビリヤードのトップ選手は、例外なくこういったニギリをしており、業界自体がそういう文化なわけです。
ポール・ニューマンやトム・クルーズの「ハスラー」という映画を観た方はわかると思いますが、日本だけではなくて、ビリヤードとは、世界的に、そういう文化なんです。
当然、強いプレイヤーは、ギャンブルで生活できるくらい稼ぐんですね。
特にフィリピンはビリヤードが国技なわけですが、ビリヤードのギャンブルで家計を支えているプレイヤーがゴロゴロといる。
そんなこんなの勝負の世界なんですが、実力差があるモノ同士だと、勝負が成立しないので、ハンデを付けて勝負をすることになります。
日本のビリヤードでは、業界標準のランク付けの基準があります。
レベルの高い順に、
- プロ
- SA級
- A級
- B級
- C級
という感じですね。
プロと、B級がギャンブルをする場合は、当然のごとくハンデが付きます。
ただ、ギャンブルの場合、このハンデ交渉というのが面白くて、当人同士の個人交渉なんですよね。
「もうちょっとハンデくださいよ~」
「いやいや、そんなにハンデはやれませんね」
とかのやりとりがあるわけです。
レベルの低い人は、ハンデが欲しいし、レベルの高い人は、ハンデをあげたくない。
ぶっちゃけ、この交渉次第で、儲かるか、儲からないかが決定します(笑)
ちなみに、僕はギャンブルに関しては、めちゃくちゃ弱かったです。
トータルで言うと、何百万円と負けているでしょうね。一千万円近く負けているかもしれません。
その理由の1つが、
●プロを目指しています
という宣言でした。
「は?どういうこと?」
と思うでしょうね。
ちょっと解説をしてきます。
一度あげた旗は簡単には下ろせなくなる
人間には、一貫性を保とうとする心理が働きます。
この心理はとてもパワフルで、簡単にこの心理トリックから逃れることはできません。
例えば、先ほどの、
●プロを目指しています
という、僕の発言です。
一度、言ってしまうと、撤回をしにくくなるのです。
発言の一貫性を保とうとすることで、短期的な自分の利益とは、明らかに反するような行動を取ってしまうこともあるのです。
(プロを目指すと言ってしまったからには、そのような振る舞いや行動をしなければならない)
という考えに駆り立てられるのです・・・!
すぐに、心変わりをしてしまう女性は浮気症で軽はずみだとみなされますし、他人の意見に左右されて、自分の意見をコロコロと変えてしまう男性は、優柔不断で意思が弱いとみなされます。
言っていることと、実際の行動が伴っていない人は、信用できない人だとか、裏表がある人だと、疑われてしまいます。
一方、
言行一致していて一貫性のある人は、人格的にも知的にも優れていると考えられるのが普通です。
確かに、有言実行する人は、世間の評価が高いですし、とても価値のある人だと認識をされます。
しかし、これは、ある意味で自分の立場を明確にすることで、それにあらがう行動を取りにくくなるのです・・・。
(プロを目指すと言ってしまったからには、そのような振る舞いや行動をしなければならない)
と行動を縛られるからです。
なので、自分よりも遥かに実力が上のプロプレイヤーと対戦するときも、当然のごとくノーハンデです。
だって、僕はプロになる宣言をしてしまっているわけですから。
「山本くん、プロになるんだよね?じゃ、ハンデいらないね」
と言われると、プロになる宣言をしてしまっている手前、ハンデくださいよとは言えなくなるんです。
もちろん、破竹の勢いで負け続けました(笑)
ただ、ビリヤード自体の実力はドンドンと上がっていきました。
ビリヤードのプロになるというセルフイメージなので。
しかし、それとは引き換えに、僕の生活状態はひどい勢いで困窮することになります。
こういう状態のプレイヤーのことを“潰れる”と言いますが、その一歩手前の状況を何年も続けました。
逆に言うと、自分が借金してでも、コミットメントを達成しようと行動したことが凄いのです。
山本の当時の経済状況のことは置いておいて、さて、我々は、僕のこの経験をどのように活かせるでしょうか?
患者さんの“宣言を受け取る”ことが肝となる
患者さんをファン化させたり、一連の指導管理をキチッと守っていただくために、この心理トリガーを利用できます。
最初に、立場を明確に宣言することが、とっても重要になります。
たとえば、患者さんの、
「私は、この腰痛を治して、◯月◯日のマラソン大会に出場して完走します」
などというコミットメントである宣言を受け取るようなことです。
カタチに残るように、書類に本人の直筆のサインを貰うのも良いですね。
更に、周りのスタッフや患者さんにも、このことを公開しましょう。
治療院の壁なんかに、貼りだしても良いでしょうね。
すると、コミットメントは、よりパブリックになりますので、この患者さんは、
「有言実行して、マラソンを完走しないと、言ったことすらできない恥ずかしい人」
になってしまいます。
こうなるのは、人間、誰しも嫌なので、かなり高い確率でマラソンを完走するでしょう。
そのコミットを達成させるため、腰痛を治すために、治療院に足繁く通うことになるんです。
指導管理も守るはずです。
高額な商品を販売するようなダイエットサロンや、矯正下着を売るお店は、似たようなことをやっています。
目標体重のコミットメントを受け取って、カタチに残すわけですよ。
すると、一度あげた旗は簡単には下ろせなくなる。
いくらでも応用が効きますよね。
われわれは、患者さんのコミットを応援する立場を取り続ける
そして、患者さんは自分がコミットして宣言したことを達成しようとしますが、全員がそのコミットを達成するわけではありません。
むしろコミットを達成しないことのほうが多いでしょう。
達成しなかったときに、患者さんと一緒に落ち込んでしまうのではなくて、「絶対に達成しますよ!」という応援することはやり続けられます。
あらゆる手段や方法を提案して、そのコミットを応援し続けるわけです。
その手段や方法が、サプリだったり、EMSだったり、筋トレだったり、ストレッチだったりするわけです。
こうすると、患者さんのために、自費メニューを提案し続けられますよね。
そして、あなたの提案したメニューを買うか買わないかは100%患者さんが選択しますので、あなたが売りつけているわけではありません。
ただ、提案をしなければ、患者さんがコミットメントを達成するチャンスを奪ってしまうことになりかねません。
なので、あなたは患者さんのコミットメントを、達成させるための応援をし続ける限り、提案をし続けることになるのです。
山本