木下サーカスから学ぶ、治療院ビジネスの本質

2014年7月20日

こんにちは。YMC株式会社のヨリミツです。

先日、仕事を早めに切り上げて、家族で「木下大サーカス」を見に行きました。

会場に行くとものすごい大盛況で、前売りの自由席を買っていたのですが、席が埋まっています。

ここまで来て「席がないなら帰るわ」と言うわけにもいかず、結局、指定席を買うことになりました。

券を売っている女性が

「通路になるんですが良いですか?」

なんのことかよくわからなかったのですが、とりあえずこの時間で見たかったので

「全く問題ないですよ」(ニコッ!!)

と席を買いました。

私たちの買った指定席は、通路にクッションのようなものを敷いて座る席でした。

(通路側とかではなくて、本当に通路なんだ・・・)

クッションは何度も使った事がある使用感があります。

通路を、席として利用することによって、指定料金を払っても構わない層の、機会損失を出さない工夫をしていました。

まわりを見渡すと、通路席の人は結構います。

(限られたスペースで頑張って稼働率を上げる努力してるな)

さすが、昔から事業を続けている木下サーカスの秘訣が見えた瞬間ですね。

1時間程サーカスを楽しんでいると

「それでは、前半終了で15分間の休憩に入ります・・・」

というアナウンスが。

トイレでも行こうかな・・・と、思っていたら

休憩に入った瞬間に、子供たちが喜びそうなピカピカ光る棒を、売り子さんが販売し始めていました。

(昔こんなのあったかな)

なんて思いながら、座ってばかりでおしりが痛かったので、とりあえず息子と一緒に、いったん外に出ることにしました。

すると、当然の様に記念グッズの販売、軽食の販売がバリバリ行われていました。

記念グッズは買わなかったのですが、私達はかき氷を買いました。

軽食販売の様子を見ていると、販売している軽食は全て一瞬で提供できるものに限っているのです。

つまり、休み時間の15分の間に、いかに客単価を上げるかということにフォーカスしているわけです。

私達が買ったかき氷は2つで400円。

注文をしてから提供されるまでに、おおよそ20秒で、お会計で10秒ほど・・・。時間にして30秒で400円の売上です。

これって、良く考えたら凄くないですか?

治療院で、一般的な自費診療の価格が1分=100円です。

に対して、もし同じ1分だったら、このかき氷の価値は800円ってことです。

いや、さすが世界3大サーカスの一つですね。(場内アナウンスで言っていました)

素晴らしい商魂です。

ちなみに、1部目のステージが全て終わって外に出ると、“ゾウ”と一緒に写真を撮るアップセルがおこなわれていました。

いやほんとに、商売がわかっていますね。

たくさんの人が喜んで1枚800円の記念写真をゾウと撮ってもらっている様子を見ながら感心しました。

アップセルこそが儲けるポイント

昔から知っているビジネスで、今でもしっかり生き残っているビジネスは、ほとんど“アップセル”をしてきます。

※アップセル=客単価を上げていく方法。簡単にいうと“ついで買い”をしてもらうこと。

しかも流れるように行われるので、全然いやらしくもないですし、もはや買うことが自然です。

スタバなんかも「一緒に、デザートもどうですか?」って聞いてきます。

寿司屋でも「今日、こんないい魚がはいってるけど、どうですか?」と聞いてきます。

居酒屋でも「ビールおかわりいかがですか?」と一言添えてきます。

これが大事なんです。

今回の木下サーカスの例で言うと、

●指定席のアップセル
●記念品グッズのアップセル
●飲食のアップセル
●記念写真のアップセル

ですね。

これをすることで、客単価がドーンと跳ね上がります。

このへんは治療院でも絶対に見習うべきです。

「でも、ヨリミツさん。こんな感じで、買え買えってやるのって、患者さんの気分を悪くさせませんか?」

って疑問に感じる方もいるでしょう。

しかし、これって別に「売りつけろ」って話ではありません。

お客さんは“サーカス”を観ることに金を払っているわけではない

よく考えて下さい。

家族連れのお客さんが、木下サーカスを観に行く理由ってなんでしょうか?

そうです。

●家族の絆を深めるため

ですよね?

サーカスを観ることによって、子供が喜ぶし、コミュニケーションがとれるわけです。

それにより、子供たちが学校で話題に入ることができるかもしれないし、家族団らんのキッカケになるかもしれない。

お客さんは、サーカスを観に来るために金を払っているわけではなくて、“家族サービスできる機会”に金を払っているのです。

サーカスグッズを買うことで、子供は喜ぶ笑顔が見られると思うと、お金を出すことは惜しくありません。

かき氷を買うことで、子供が泣き止むと思うと、お金を出すことは惜しくありません。

ゾウと写真を撮ることで、10年後にアルバムを見ながら「こんなことがあったねー」と家族団らんができると思うと、お金を出すことは惜しくないのです。

逆に言うと、それらをアップセルして売らないってことは、“家族サービスできる機会”を奪っているわけです。

治療院でも同じことですよね?

健康になりに来ている患者さんに対して、さらに健康になれるサービスを売らないってことは、“健康になる機会”を奪っているわけです。

たった一言を添えるだけで、その患者さんは、さらに良い未来を手にする機会を得るわけです。

当然、患者さんの未来を考えて、アップセルしなければなりません。この大原則にのっとらないと「売りつける感」が出てきてしまいます。

でも、先生自身が、「この患者さんはこのサービスを受けると絶対に良い」と思うものは、自信を持って勧めてあげてくださいね。

ヨリミツ